チラシの効果


一般にメーカーの人はチラシ掲載になると「売れる」と考えます。
しかし、売れ行きは店頭での陳列方法が大きく影響します。

下図は「商品A」のチラシ掲載時と、その前後の週間販売数推移です。


横軸「0」週のところでチラシが入りました。
しかし、定番棚でPOPを取り付けただけの展開です。
「-5」から「-2」は月間特売が入っていました。
「-1」は通常売価です。
-1週と0週を比較すれば150%なので売れていますが、
月間特売の時と同程度の値です。


下図は「商品B」のチラシ掲載時と、その前後の販売数推移です。



横軸「0」でチラシ掲載で、エンドでの大陳を行っています。
試食販売も入っての値ですが-1週の約300%です。

ふたつのグラフを重ねてみます。



所謂「POP特売」に比べて、チラシ掲載は良く売れます。
チラシは「お客様と店の約束」で、「この商品をこの値段で売っています」と宣言
している物ですので、店は対象商品を必ずその売価で売場に出します。
メーカーはチラシに入ればエンドに並ぶものと思い込んでいます。
しかし、売場のどこに置くかは店の判断に委ねられます。

その時期に売れる商品かどうか、その時期のエンドに出すべき商品かどうか、
それらを考えてエンドに出す出さないを判断します。
商品や売り方に関する情報が無ければ、売場担当者の過去の経験に基づき、
売り込むか、適当にPOPだけで済ませるか判断されます。

ほとんどの場合チラシで売れた例は、エンド展開した物です。
上図のようにエンドを取れていない場合は、エンド展開した物に比べ、
大きく差がつけられます。

チラシ掲載時に、店舗にアプローチするかしないかで、
大きな差がでます。

なお、現場では「エンドに出せば売れるけど、出さない!」という
不可解な状況もあります。(詳細は書けません)






「風が吹けば桶屋が儲かる」って話を信じてしまう?

「風が吹けば桶屋が儲かる」という笑い話をご存知だと思います。
風が吹いてホコリが舞い、様々な因果関係から桶の買い替えが起こるという話ですが、
風が吹いて桶が売れると言うことは誰も信じないでしょう。
しかし、販促の分野では、初めの事象と様々な因果関係で起こった結果を直接結び付けてしまい、
「○○をやると売れる」と信じてしまうことがあります。

上記のように「チラシに入ると売れる」という現象に関しては、
首都圏の中堅以上の小売店の場合、エンドに出したことが売上増加の直接の要因です。
また、「○○の日」には対象商品が売れるというのも同様です。
机上でデータだけを見ていると陥ります。
現場を知ることが重要です。



チラシに関して、最近、あるメーカーが
「チラシに入らなければ客数が伸びない」と言っていましたが
未だにチラシに入る→客が多数やってくる→チラシ掲載品が売れる
という流れを信じているようです。
あるチェーンのチラシ掲載品の選定基準には
「価格弾力性が高く、集客が望める商品」とありますが・・・

新聞発行部数は1997年に約5400万部で、2018年は3990万部
21年で約25%減少しています。

チラシそのものの浸透力(到達力)は減少していると思われますが
小売はチラシは重視しています。
前述の「お客様との約束」という点で記載商品は
扱い方に優劣はありますが完全無視はありません。